「辛い時こそ笑顔」の効果と注意するところは何か
社会生活を営んでいる以上、辛い時でも頑張らなければならない時もあります。
辛い、苦しいとばかり考えていると余計に辛くなってくるので、前向きに生きたいと願い辛い時こそ笑顔で乗り越えようと心がけている人は多いでしょう。
辛くても頑張っている姿には、時に感動を覚えることもあります。
しかし、だからといっていつも笑顔で乗り越えようとするのは無理があります。
この記事では、
- 辛い時こそ笑顔の効果
- 日常化した辛い時
- 辛い時の笑顔が逆効果になる時とは
- 笑顔だけでは乗り越えられないものがある
- なぜ辛い時こそ笑顔をつくるのか
等をまとめてみました。
ここから、辛い時の対処の仕方も見えてくるのではないかと思います。
目次
辛い時こそ笑顔の効果
私たちは楽しいことがあれば笑い、辛いことがあれば悲しくなるものですが、気分任せでなく自らの行動で気分を変えることも可能です。
例えば、うつむいて、とぼとぼ歩いていると気分は暗くなり、上を向いて弾んで歩いていると元気になってくることは経験されているのではないでしょうか。
辛いからといって、やる気が出るまで待っていられない時には、笑顔をつくり意識を変えてしまえばやる気も出てきます。
また、頑張ったけれどもどうしようもない時、開き直って笑ってみることで覚悟が決まり、やる気が出ることもあります。
このように、ここ一番の大事な場面を乗り越えるには、笑顔をつくり意識を切り替えることで苦しさを乗り越える力が得られることは、仕事でもスポーツの世界でもよく聞かれる話です。
日常化した辛い時
普段の日常生活が穏やかなものであれば、時折やってくる辛い時に笑顔で乗り切ろうとすることは何も問題はないでしょう。
一般的に辛い時に笑顔を作ってまで意識を変える理由には、
- ここ一番の大事な場面を乗り切りたい
- チームの士気を上げる、または下げないため
などが挙げられます。
しかし、現代の生活はとても忙しく、常に結果を求められるところがあり、こうした中では、常に走り続けていなければ落ち着かなくなっている人も多くいるのではないでしょうか。
ある意味、毎日が不安の中にあり、辛い状況なのかもしれません。
そんな毎日の辛い状況を出来るだけ明るく生きようと思ったら、笑って過ごすしかないところもあります。
こうした環境でまわりが頑張っているならば、辛いからといって暗い顔をしていてはいけないと感じ、無理して笑顔をつくっている人もいるはずです。
このように、辛い状況が日常化して、常に明るくしていようするところには問題も出てくるでしょう。
辛い時の笑顔が逆効果になる時とは
ここぞという辛い時を笑顔で乗り越えたあとには、目標に向けて前向きに取り組んだという満足感があり、結果がどうであれ、やり遂げた爽やかさが残ります。
しかし、日常化された辛い状況を笑顔で乗り越えようとするのは、結果としては、笑顔で辛さを感じないように誤魔化すことでやる気を維持する行為になってしまうでしょう。
習慣化されれば自分が感情を抑え込んでいることにさえ気付かないようになり、自分の気持ちを誤魔化しているところから、結果としては自分が何をしたいのかという気持ちまで分からなくなってしまいます。
感情を抑え込むのは、素直な気持ちの表現を否定することなので、楽しい時、嬉しい時に自然に出てくる笑顔も素直に表現出来なくなってしまいます。
抑え込んだ感情が限界を超えると、反動で何もしたくなくなってしまうこともあるでしょう。
自分が無意識のうちに感情を抑え込んでいることに気づく、または認めることが大切です。
そうすれば自分をいたわる気持ちも出てきて、それが救いにつながっていくようになります。
笑顔だけでは乗り越えられないこともある
辛い時こそ笑顔というのは、ポジティブな姿の典型かもしれません。
ポジティブであることは明るい毎日を過ごす基本になりますが、ポジティブであればすべてが解決されるわけではありません。
辛さを乗り越える方法には大きく分けて
- 努力で乗り越えるもの
- 受け入れて乗り越えるもの
との2種類があります。
努力で乗り越えるもの
何がなんでも成し遂げたいという目標がある場合には、前向きに取り組むために辛くても笑顔をつくる効果は、アスリートの世界では証明されているといってもよいでしょう。
逆に、目標が定かでないままの漠然とした辛さに対しては、何のための努力か分からなくなってしまい、頑張るほどに辛くなってしまうこともあるという話はしました。
しかし、これも目標が定まれば努力の意味を見出せるので、笑顔で乗り切る効果は出てくると言えます。
このように、努力で乗り越えることができるものに対しては、「辛い時こそ笑顔」は有効であると言えるでしょう。
受け入れて乗り越えるもの
辛い出来事には努力だけで解決できるものばかりではありません。
愛する人を失う悲しみなどは典型的なものです。
また、努力の余地はあるとしても、誰もが一流のアスリートにはなれないように、どこかで見切りをつけなければならないという辛さも頑張って乗り切るものではないでしょう。
これらの辛さは受け入れるしかないところがあります。
無理して笑顔をつくっても逆に苦しくなるばかりです。
心配をかけないように、笑顔を見せるのは心使いとして必要になる時もありますが、笑顔で忘れようとするのは厳しいものがあります。
受け入れるにはある程度の時間の経過がどうしても必要になります。
その理由はおそらく、成長する方法は努力だけではない。または、努力だけですべてが解決できるわけではことを学ぶ機会になっているからだと思われます。
努力だけでなく受け入れて学ぶもの
辛さに勇敢に立ち向かうことだけがポジティブであるならば、ポジティブとは、ネガティブの存在を否定することになりかねません。
ポジティブに生きたいと願うあまりに、ポジティブを押し付けてしまうのもここが関係しているからです。
人生には辛い時期を耐え、味わう時間も必要であり、その時には辛さに向き合うことがポジティブな姿勢になる場合もあるでしょう。
時間をかけなければ出来ないこともあります。
それは、忍耐とは何かを学ぶ時間なのかもしれません。
食品の熟成もそうですし発酵もそうですが、時間の経過が人生のうま味となって表れてくるのだと思われます。
辛い出来事に対して無理して笑顔をつくるのではなく、辛さを味わうことで人生が熟成されれば、自然に笑顔も戻ってくるでしょう。
こうした経験が他の人への優しさとなり、許す気持ちを育んでいくのだと考えられます。
なぜ辛い時こそ笑顔をつくるのか
辛い時こそ笑顔をつくるのは、明るい自分、明るい社会をつくっていくためには大切な考え方です。
「笑う門には福来る」ということわざがありますが、一人の幸せは他の人にも伝わっていきます。
無理して笑顔をつくる必要はないかもしれませんが、本来、笑顔をつくるのは自分を誤魔化そうとしたり、他の人の機嫌をとるためではありません。
辛さを笑顔で解決出来ないとしても、周りへの気遣いから笑顔をつくろうとするところには、他の人への愛情があります。
自分のみならず、他の人への愛ゆえに頑張って笑顔でいたいという願いが根底にあるはずです。
その愛は他人のみならず、自分を大切にしたいという愛でもあるでしょう。
その気持ちが他の人からの温かいまなざしとして返ってくるのが、人生の仕組みであり、原因と結果の法則、因果の法則と言われるものだと思います。
まとめ
「辛い時こそ笑顔」の効果と逆効果になる落とし穴についてまとめてみました。
辛い時、下を向いてばかりいては元気は出ません。
顔を上に向けるだけで、気分も明るくなってくるものです。
人は辛い時に多くの貴重な学びを得ます。
その貴重な時間を味わい、前を向きたいと思ったならば、辛さが残っていても笑顔をつくることで人生はさらに開けていくでしょう。
参考になれば幸いです。